ヤマネコ目線

大体独り言、たまに写真その他、レビュー等

「岸田政権は増税していない」に反論する

 X (Twitter)で面白いものを見かけたので。これで何を言わんとするかは察するしか無いが、本当だろうか。

一時的な減税、恒久的な増税

 まず言いたいことは、前政権で決まったことを勘案しないことは卑怯であるということ。安倍、菅、岸田政権と自民党政権は長く続いており、その中で行われて来た政策全体を見るのではなく、「岸田政権の行ってきた税制改正」に限定して論ずることは視野が狭い。あえてそのような方針で書いているのだろうが。

 「岸田政権下で決まった増税は少ない」が事実であるならば、「国内情勢に鑑みず以前から決まっていた増税をそのまま実施している」も事実であろう。インボイス制度はいつから始まった?森林環境税はいつから徴収されるようになった?言ってみろ。

 加えて減税の項目についてもそれぞれの制度の特性、決まった時期を考慮していない。至極表面的で詰めの甘い比較であり、こんなデマ同然の内容がこれだけ拡散されていることに恐怖さえ覚える。「etc.」って何だよ。画像まで作るんだったら全部書けよ。ツッコミ入れられないじゃん。

 上の画像、ツッコミやすい所から言うと定額減税。所得税と住民税の減税が行われるのは今年1度限りである。制度として恒久的に負担を強いる増税と1度限りの減税を単純比較することは明らかに誤り。特に所得税と住民税の減税については言いたいことがある。というか前に書いた。

sxvp.haychill.site

 ビール酒税に至っては酒税法改正されたのが2018年安倍氏が総理大臣だった頃。その時点で2026年にかけて段階的に酒税を変更することが決まっている。あれ?過去の減税は表に含めるのに増税は含めないんだ?都合が良いね。

smbiz.asahi.com

 上のサイトを見れば分かる通り税率が上がるもの、下がるものがあって一概に減税か増税かは分かりづらい。ぶっちゃけ普段、飲んでいるものによる。

 なお、ビールの酒税は引き下げである一方で発泡酒および新ジャンル*1の酒税については引き上げである。下の記事、2019年までしかデータが無いがこの時点で[ ビール ] と [ 新ジャンル+発泡酒の量]  が拮抗しつつあり、ビールとしてトータルで見れば減税とも増税とも判別しがたい。

mainichi.jp

 そもそも酒税がどうなろうが酒を飲まない人間からすれば関係無いのだが。税制改正の背景は酒の種類による税負担の公平性見直しというものであり、減税によって国民の負担を減らすという意図で行われたものでは無いことも留意すべき。

 所得拡大促進税制は中小企業を対象として賃上げを促進するものであり、減税政策というよりは経済政策の一環としての性格が強い。決して無意味な訳ではないと思うが、賃上げによって税制上の優遇を受けられるのはあくまで法人である。間接的なメリットはあるものの、要件に該当しない企業や賃上げが出来ない(しない)企業の従業員には恩恵が無い。

www.smash-keiei.com

 ガソリン補助金についても減税とは言い難い。厳密に区分するならば補助金と減税は異なるのはさておき、意味不明な理屈*2でトリガー条項の凍結解除をしないという問題を無視している。以前から指摘されている二重課税についても改められていない。これらを放置して補助金という形式で国費を投じる非合理的な姿勢はむしろ批判されるべきだ。無駄に金を取って無駄な形でばら撒く最悪の手法。

www.wjsm.co.jp

 住宅ローン減税の延長は岸田政権下で決まったことだが、住宅ローンが無関係である人には何らメリットが無い。というのはさておき住宅ローン減税の延長が決まった背景は経済政策として住宅への投資や支出を拡大させるため、可処分所得を増やして内需を回復させるため。環境対策としてより環境にやさしい新しい住宅を増やすため。減税による負担軽減と可処分所得を増やすということは表裏一体ではあるが、対象者は限定的でその効果が広範に及ぶとは言えない。

 冒頭に貼った画像で「減税」の欄に入っているものはいずれも期間や対象者が限定的であり、改正に至った内容も減税が主眼とは言い難い。これで「岸田政権は増税よりも減税しているんです」と言われても納得は出来ない。「社会保険料の引き上げ」は「増税」では無いのでセーフか。「復興特別所得税を防衛費に回したい」などと抜かしてたのも忘れたか。

 直近では配偶者控除の廃止金融所得に応じた社会保険料の負担増などという話も出ている。控除の廃止は「増税」では無いのでセーフ?「自己責任で投資して所得を増やして」などと煽るだけ煽って儲かったら「はい社会保険料いただきま~す」も「増税」では無いのでセーフ?それを是認する国民は一体誰の味方なのか。

 国民負担率が下がっているというデータもあるようだが、スタグフレーションに陥っており物価高に苦しむ中では下げない方がおかしい。下げて当然。それでも正しい方法で下げているとは言いかねるのが現政権である。意地でも消費減税しない、インボイス制度も止めない。減税するにしても定額減税のような面倒で複雑な手間のかかる手法を取り、累進課税である所得税を減らす。

 政策にしても「異次元の少子化対策」だの「防衛費倍増」だのと明らかに増税前提の内容で進んでおり、これから先、減税よりも増税が行われるであろうことは火を見るより明らか。無理のあるポンチ絵で「岸田政権は減税している」「減税メガネ」などと言ってのける人々は愚かな逆張り人間か、自民党ネットサポーターズクラブかのどちらかでは無いだろうか。そう解釈しないとそんなことを言ってのける神経が分からん。

 消費減税しない内から「減税メガネ」なんて呼ばせないぞ

生前贈与の増税

 生前贈与における増税は加算対象が過去3年→7年へ伸びることで、課税対象額が増えるので増税になるという理屈。しかしこれも生前贈与が無関係ならば関係無い話であるし、相続税の抜け穴を塞ぐ意義があるため決して嫌な意味での増税では無い。そもそも取り過ぎな所で抜け穴塞ぎに来るのはいやらしい感じがするが。

souzoku.asahi.com

余談:オリジナルグッズ

 気が向いたら勝ってください。私が喜びます。文字は自分で書きました。上司の前でこれ見よがしに着るもよし。何かの集まりで着るもよし。配偶者に対する当てつけで着るのはやめてください。相手が可哀想です。その他いかなる不利益が生じても自己責任で。

suzuri.jp

*1:=第三のビール

*2:「ガソリンの買い控えや流通の混乱が起こる」

どう考えてもコイツらおかしい

 書き散らし。自民党政治資金規正法改正案を単独提出する。裏金問題を起こした政党がろくな調査もせず、自分たちで一部派閥だけに全責任を押し付けた上で大甘も大甘な処分をし、明らかに不十分な内容の再発防止策を出してくる。おかしいだろコイツら。

news.yahoo.co.jp

(記事題:規正法、自民17日単独提出へ パー券公開「10万円超」 公明受け入れず、与党協議不調)

パーティー券は1の購入から公開しろ

 現在、パーティー券の相場は1枚2万円。最低でも2万円からという大きな括りで処理できる以上、パーティー券は1から誰が購入したのかを公開するべきである。こちとら1円単位で消費税の記載をやってるんだ。政治団体として資金集めするのにそれくらいやれよ。ふざけるな。

 なお、1”枚”から公開するべきと表現したのは理由がある。「2万円以上から」にすると1枚あたりの値段を2万円未満に値下げする可能性が高いから。なので「1”枚”から公開」にしないといけない。こいつらは平気でそういう事をする。国民に対してはいかに逃げ道を塞いで厳格に税金と社会保険料を搾り取るかしか考えていない癖に、いざ自分たちが負担を強いられる側になると必ず制度の穴を残そうとする。

 「10万円超から公開」も10万円”超”なので10万円は含まれない。はぁ?今まで20万円のパーティー券購入をしていた者であれば、別名義で10万円ずつ購入すれば今まで通り。犯罪者が自分で再発防止策を作ることがまずおかしいのに、さらに内容も甘いのが到底許されない。自民党は倭国の恥。

 連座制を導入しないのも不十分。政策活動費も1円から公開にするまで許せない。それでもインボイス制度に比べればぬるい。ぬるま湯につかったままだから平気で民間に重い事務負担を強いることが出来るのだ。

裏金議員の処分がまだ終わっていない

 自民党は裏金議員の処分を終わらせたつもりでいるのだろうが、不十分な処分で終わりにして良いと思ってもらっては困る。安倍派以外でまともに処分された裏金議員はいるのか。その安倍派でも萩生田は党役職停止を受けたにも関わらず、「本部と支部は別」などとして支部の役職続投が決定している。つくづく腐った奴ら。

news.yahoo.co.jp

(記事題:萩生田氏、都連会長は続投 裏金処分、党役職停止でも)

 は?としか言いようがない。どれだけ形式だけの軽い処分なのか。萩生田が作っていた裏金は実に2,700万円以上。第一にそれだけの裏金を作っておいて党役職の1年間停止という処分が軽過ぎる。萩生田に限らず裏金議員は追徴分も含む納税か、それをしないなら議員辞職するべき。

 お次はその役職停止すら「処分は党本部であり支部は関係ない」などと言って反故にし、党内からも異論が出ない。こんなこと、普通の企業だったら許されるのだろうか。許されたとてろくなものでは無い。

 裏金問題だけでなく旧統一教会問題においてもしれっと責任逃れをした萩生田、一体何があってそこまでしつこく残り続けるのか。何をもって党内で一定の地位にあり続けるのか。不思議で仕方ない。

 結局こいつらには選挙で鉄槌を下すしかない。自浄作用に期待するのは無駄。そんなものが無いことは遠の昔に分かっている。

余談:円安と円高どちらが良いか

 関係ないが「円安と円高どちらが良いか」という議論を目にする機会があった。正直、行き過ぎればどっちも悪いとしか言えないと言うか、なぜこうも二元論に陥るのか理解できない。円高が悪いという意見は民主党政権時代を持ち出して来る者が多く、円安が悪いという意見は現在のスタグフレーションを持ち出す者が多いイメージ。

 個人的には円安傾向からの物価高は決して悪いことでは無いと思っている。円安誘導することで物価高へ誘導、デフレによる安売り競争を終了させ、同時に賃上げ要請することで賃金も上げる。やりたい事の方向性は理解できる。

 しかし問題は円安進行のスピード。あまりにも速く進み過ぎて企業の賃上げも庶民の感覚も追いついていない。日銀は口先も含めて介入しているが焼け石に水。倭国の経営者は人件費削減の鬼なので、どのような状況になってもおいそれと現状に応じた賃上げなど行わない。消費者の感覚もまだまだ「安ければ安い方が良い」という感じで、企業はそれに対応するためにステルス値上げのような心象の悪い手法で値上げを行っている。名だたる企業が価格を抑える方針を取りながらも自社の利益保全に走るため、国内企業の大半を占める中小企業は原材料価格高騰などの影響を価格に転嫁できていない。

 政府が経済の好循環への流れを自ら断ち切っていることも問題。賃上げ要請するのは良いが同時に増税社会保険料の引き上げで負担も増やすので、物価上昇に賃上げが追いつかないスタグフレーションに陥っている。なおかつその状況下でもしかるべき減税をせず、本来、税収の柱とするべき累進課税である所得税をたった1年だけ減税し、さらなる恒久的な増税の話まで出てくる始末。いつまで経ってもアクセルとブレーキを同時に踏んでいることに気がつかない。

 直近の報道ではGDPは年率2.0%減。円安なのに輸出も減。コロナ禍ならぬ岸田禍。岸田というか自民党財務省が悪い。賃上げ要請する前に減税しろ。

www.nikkei.com

 

0歳児に選挙は無理

 倭国維新の会、吉村大阪府知事がまた妙なことを言い出したのでそれについて。子育て世帯に向けた露骨な人気取り政策、あるいは大阪万博の無様さから目を逸らす狙いがあるのか。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「0歳児選挙権」で子育て世代の意見を国政に 維新の少子化対策に「子どもの将来によい」「不公平」賛否両論)

選挙の原則に反する

 大前提として選挙においては4つの原則がある。

  1. 普通選挙有権者は性別や納税額などで差別されない)
  2. 平等選挙(一人一票の原則)
  3. 直接選挙(有権者の投票が直接的に議員や首長を決める)
  4. 秘密選挙(投票は匿名で行う)

 0歳児投票権を認めてしまうと何が起きるか。そもそも上の原則に照らして認められない訳だが、0歳児~の子供は当然ながら選挙における正常な判断能力を持っていない。なので子供の数だけ親が代わりに投票することになる。この時点で平等選挙=一人一票の原則に反している。

 差別という観点から見れば「子供がいるか/いないか」で差別しているとも取れる。子供がいることを理由に複数の投票権を持つことは不平等である。建前がどうのは関係ない。実際はどうなのかが重要。

 加えて普通選挙における有権者は年齢においてのみ制限がある。この根拠となるのは憲法であり、第三章第十五条の③

公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

 とある。0歳児に投票権を与えることはこれに反するので憲法改正が必要になる。ただでさえ政治不信が広がる中で、自民党や維新の会にこんなふざけた内容を含む憲法改正など任せられるか。論外。

 また、選挙における投票は秘密選挙である。親が子の代理として投票する行為はこの「投票の秘密」を侵害するものではないか。中には十分な判断能力がある年齢にも関わらず、障害があって投票用紙が書けないゆえに代理人と共に投票しようとする場合でも、この投票の秘密を理由に不自由を強いられているケースがある。

https://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/19-2/001kurata.pdf

 これはこれで問題なのだがさておき、「親だから」というだけで子供の「投票の秘密」を事実上侵害することは許されない。

 以上の点からして0歳児からの子供に投票権を与えるという案は非現実的、かつ選挙の公平性を損ね得るものであり到底受け入れられない。これらの原則は義務教育で習う範囲であり、これに安直に賛同している有権者がいることに正直、失望を感じている。この国は有権者が愚かだから国そのものも愚かな方向にしか進まないのだ。私も含めて皆、もっと賢くならなければいけない。

公職選挙法に対しても矛盾

 公職選挙法には第一条に

「~、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、~」

公職選挙法 | e-Gov法令検索

 とある。0歳児の一体どこに「自由に表明せる意思」があると言うのか。100回くらい問いただしたい。せいぜい自由に泣く程度だろ。

 人間、意思表示は18歳未満までにある程度できるようになるだろうが、実際に社会に出てその一員としての自覚が芽生えるのはその後である。大学まで進学するのであればそれを自覚する時期はさらに遅れる。大学生は大人ではあるが社会人では無い。

 たとえ自分自身の意思で投票先を決めるとしても、子供に社会の一員としての正常な判断が出来るとは考えられない。それが正常な選挙を実現するとは考えられず、この国の行く末を決める制度として正しい道とも思えない。愚民政策と言われても仕方ないだろう。

 また、子供を自分の所有物のように考えている人間の価値観を悪い方向で助長することも考えられる。これは将来的に若い世代の政治に対する自由な意思決定や独立した思考の形成を妨げる可能性も生む。物心つく頃から自分自身の投票権を親が行使することが当たり前、という状況を作ってしまうことの悪影響を軽視するべきでは無い。

 良心的な制度運用を考えれば子供の成長に合わせて投票権の行使を本人にさせることが前提となる訳だが、世の中そんな親ばかりでは無い。親からすればどの時点で本人の意思を尊重すれば良いか迷うことにもなるだろう。

 実務的なことを考えると、多少なりとも選挙制度に関わる根本的な部分から変える必要性がある。それにも当然コストがかかる。そのコストを支払うだけのメリットは果たしてあるのか。

 いくら子供を持っている人間の投票権を優先した所で、選挙で選ばれた政治家が国民の代表としての本分を忘れ、国益を考えずに無意味な少子化対策しか出来ないのであれば結果は同じである。そこに残されるのはデメリット、不平等だけ。特にこのご時世に結婚して子育てできるような人間は恵まれた部類である。そうした人間をさらに優遇する不平等さは看過できない。

世代間格差是正の方策として

 好意的に解釈すれば「0歳児からの投票権付与によって世代による人口の差からの格差を是正できる」、上の世代の方が多いので子供に投票権を付与することでその差を埋められるようにしたい、というのは一理あるように見えなくも無い。一人一票なら確かに人口が多い世代の意見が反映されやすい。

 しかし少子高齢化社会、人口の逆ピラミッドにおいて、また現在進行系で少子化が加速している中では子供と親を合わせても上の世代との人口格差を覆すことが出来るとは考えられない。子供がいる/いないで同じ世代で不平等が生じる。

 そして今後、時代が巡って子供を持つ人間が増えた時の場合も考えなければならない。人口が逆ピラミッドからピラミッドへ戻る過程、あるいは戻った後では子供を持っている人間の方が数も多い上に投票権も多いという著しく不平等な状態に陥る。憲法改正まで必要になるのであればこの先50年、100年を考えてものを言って欲しい。

 結局、得られるメリットに対してデメリットが大きいように思う。それを言うのであれば子供の有無ではなく、年齢層別の人口比率に応じて一票の重みを調整する方が現実的ではないだろうか。それはそれで手間というか細かな処理が必要になるが、世代間格差を是正するためにはそれが公平だと思う。

 他方、地域の人口差による一票の格差も問題視されて来た。たびたび違憲判決も出ている。今の選挙制度に制度としての欠点があることが否定できない以上、議論を投げかける意味ではプラスに取れなくも無い。そんなに深くは考えていないだろうが。

それとは別に

 政府税調において配偶者控除の見直し=廃止を求める声があるらしい。相変わらず専門家のくせに的外れも良いところだ。いくら選挙の投票率が上がっても、選ばれる人間が物事の理非を知らない愚か者ばかりなら仕方がない。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「制度が価値観つくる」 配偶者控除見直し求める声、政府税調で続出)

 「年収103万円の壁を取り払う」というのは結構だが、こいつらの場合は配偶者控除そのものを無くしてそれを実現しようとしている。女性活躍推進、女性も男性と同じように働ける社会というのはある意味では理想なのかも知れないが、倭国は現実として働き続けることと結婚・子育ての両立が容易な社会とは到底言えず、働き続けながら子育てすることが難しい、あるいは専業主婦として働きたいという女性もいる。

 配偶者控除をなくす事がそうした家庭に対する実質的な増税になることは明らかであり、不必要なまでに手間のかかる一度限りの定額減税を言い出したかと思えば、それが実際に始まる6月も待たずにこのような話が出て来ることに怒りを覚えずにはいられない。

 こいつらはどこまでも税金と社会保険料を搾り取ることしか頭に無いのだ。女性活躍推進なんかは大義名分に過ぎない。「制度が価値観を作る」などともっともらしい事を言うがその実、何も分かっていない。

 円安によって物価高を誘発し、それに乗じて賃金増加を見込むのであれば配偶者の賃金が伸びることも当然予想される訳で、そこで扶養に入っている女性にもっと働いてもらおうと思うのであれば、配偶者控除を受けられる年収の上限を上げるべきであって、配偶者控除そのものを無くして増税に走る必要性は無い。

 これから賃上げが行われるなら年収103万などあっという間に超えてしまう訳で、年収200万でも300万でも扶養に入れられるようにした方が結婚して扶養に入りながらでも働こうと思う女性は増えるはず。社会保険の適用範囲も広げずむしろ縮小するべき。毟り取らるのが嫌だから逃げているのに、毟り取る相手の範囲を広げて事態が好転すると思っているのならとんだ大馬鹿だ。心の底から◯んで欲しい。

 この先、倭国政府は定額減税によって軽減された分を取り返す、あるいは取り返して余りあるほどの増税社会保険料の引き上げを繰り返し、賃上げ効果を減殺し続けて「経済の好循環」とやらを自ら抹殺するのだろう。その前に主権者たる国民が愚かな政治家を抹殺しなければならない。殺るか殺られるかだ。

 

終わってしまったラジオ番組

今週のお題「ラジオ」

 最近は聴いていないが、今年3月で終わるまでAdoさんのANN*1を聴いていた。終わってしまって早1ヶ月超だが時たま、あの騒がしい月曜深夜が恋しくなる。YouTubeで探すと無断アップロードされたものがあるのでたまに聴き返している。ただし著作権的にアウトだからかラジオ内で流された曲はカットされている。それを言い出したらラジオ本編もアウトな気はするが、おそらくYouTubeの審査に引っかかるのだろう。

 ラジオは音声だけなので何か作業しながら聴くのにちょうど良く、今まであまり興味を持っていなかったが見直した。特に騒がしい人がやると1人でも延々騒いでいるので退屈しない。クリスマス回とはいえ開始延々25分くらいホーム・アローンについて語る人がいるとは思わなかったが。

 ただし音楽サブスクやAudibleなど音声のみの娯楽にも事欠かない現代において、興味の無いコンテンツやCMのほうが圧倒的に多いラジオは若年層からは好まれない傾向にある。というか私も好きなアーティストのラジオで無ければ聴かない。

 それでも普段、興味がないジャンルが耳に入って来るので新しいものを発見するという意味ではプラスの側面はあるのだが。番組中で紹介されなければ一生聴かなかったであろう曲なんかもあった。そう言えば始まってすぐの放送回で発売前のアルバム収録曲を全曲流すという、とんでもなく太っ腹なことやってたなあ・・・。

 また、普段は見られない側面というかプライベートの話、ライブの裏側の話などが面白かった。Adoさんは特にギャップが面白いというかアバター、歌やステージ上の姿だけ見ているとカッコ良い人なのだが、素は真面目かつ面白い人でラジオをやってから増えたファンもいる。一人暮らししているけど部屋がペットボトルと段ボールで散らかってるとか、自分のグッズをまとめて放り込んでいる部屋の引き戸が何か引っかかって開かずの間と化したとか、そういう話が面白い。

 ゲストとして登場したのは

  • 浜辺美波(ドラマ「ドクターホワイト」主題歌つながり)
  • 福原遥(ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も」主題歌つながり)
  • LE SSERAFIM(好きな韓流グループ)
  • Giga & TeddyLoid(「踊」「唱」の楽曲提供者)
  • まふまふ(歌い手として尊敬する先輩、「心という名の不可解」楽曲提供者)
  • SUZUKA(新しい学校のリーダーズのメンバー)
  • P丸様(好きなアーティスト?)
  • Gero(歌い手として尊敬する先輩)

 個人的に印象に残っているのはGeroさんとお互いの印象を言い合うくだり。ネタバレ:*2

 またANNやってくれないかな。でもラジオやれないくらい忙しいことは良い事だ。ANNで言えば星野源さんのゲストですしらーめんりくが来た回、YouTubeに映像が上がっていたがあれも面白かった。ってラジオじゃねーじゃん。Radiko助かるけど保存もさせて欲しい。

防災用品として

 AdoのANNが始まった頃にリアタイしようと思ってラジオを買ったのだが、時間帯が時間帯だった(月曜日の深夜)のでリアタイは早々に諦めてしまった。今は防災用品としてしまってある。乾電池式のSONYのものに加えて手回し発電のものを備えてある。

 Amazonで見ていると充電できる乾電池型のリチウムイオン電池もあるが、下手なものを買うと内部の制御基板からのノイズで音に雑音が乗るらしいので注意。エネループは使えそうだが充電はコンセントからなので非常時には使いづらい。普通に乾電池を備蓄しておくか、手回しあるいはソーラー充電可能な防災ラジオを買っておく方が手堅い。

 ただし、リチウムイオン電池は充電が切れてから放置し過ぎるとバッテリーそのものが弱ってしまう。定期的に充電してやらないといざという時にバッテリーが完全にヘタって使えない、なんてことがあり得るので注意。

*1:オールナイトニッポン

*2:Geroさんから「夜、家で一人で泣いてそう」と言われて爆笑していた

「閣議決定で何でも決めるな」は筋違い

 報道特集にて誤解を生みそうな内容があったようなので指摘しておく。間違いは間違い。

https://twitter.com/siroiwannko1/status/1789226799999922206/photo/1
閣議決定の意義

 閣議首相官邸で行われる総理大臣と閣僚による会議であり、そこで政府としてどういった方針で政策を進めていくのかを確認している。そこで行われる意思決定が「閣議決定」であり、その内容に応じた法案などが国会審議を経て実現されていく。

 閣議決定だけで法律が決まる訳では無いし、閣議決定を経なければ内閣全体での方向性が定まらないので無くせと言うのは無理がある。閣議決定された内容がほぼ実現されていくので「閣議決定=好き勝手にやりたい内容を決めている」、などと勘違いをする層がいるようだがそれは違う。

 「そんな奴いないだろ」と思う人もいるかも知れないが、冒頭で貼った画像の人は少なくともそれに当たる。X (Twitter)を見ても分かるが世の中にはそういう人間は思った以上にいる。知能が低いと言いたい訳では無く、用語の意味をきちんと調べず思い込みだけで批判する事は割とありがち。

 報道特集の一幕はそうした層に誤解を広める、誤解を補強するような内容であり、報道機関としてそのような内容を公共の電波で広めることは非難されるべきではないか。

 倭国のマスコミ、メディアは先の大戦への反省として政府批判に対する意識が強い傾向にあるが、それにこだわるが故に本来あるべき姿、事実をありのまま事実として伝える姿勢に欠けている。製作する側が人間なので多少の主観が入ることは致し方無いにしても、一部のメディアはその限度を超えている。もちろん批判するべき点は批判するべきなのだが、閣議決定がどうのは明らかに筋違い。

本筋はどこにあるか

 自民党公明党が好き勝手し過ぎていることは問題だと思うが、それで言うならば批判するべきは国会の機能不全と与党そのものだろう。多数決であることを良いことに与党は数の力であらゆる法案を押し通している。答弁では官僚が用意したカンペを読むだけ。国会で本当の意味での審議など行われていない。あんなものはただの茶番劇だ。少なくとも居眠りしている老人が正常な審議を行えるとは思えない。国会議員の平均年齢は2021年の資料で男子で59.6歳、女子で55.4歳。もはや年齢によっては価値観からして現状にそぐわない。

https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2021/08/b6035575fc034bb64c659a938ed8e7a7.pdf

 一時期、ねじれ国会などと言われて法案の議会通過の遅さ=政策実現までのスピードの遅さが問題視された時期があったが、本来あれくらいの、通りづらいくらいの方が良いのではないか。そうしなければ与党に野党からの意見を聴く、反映する気を起こさせることが出来ない。

 蛇足だが最近、選挙では国会における議席数割合も投票させて欲しいと思っている。与党勢力(自民+公明+維新)とそれ以外の野党勢力が 1 : 1 くらいでやって欲しい。維新は本質的に自民党太鼓持ちなので野党扱いはしない。

 現在の国会は形骸化している。数の力で押し切れば良いだけの準・一党独裁状態であり、これを何とかしなければ悪い流れは止まらない。それを許して来た、許し続けている有権者にも問題がある。

 「閣議決定された内容がほぼ国会で通るのだから『閣議決定で何でも決めている』は間違っていない」はただの屁理屈。閣議決定に関与するのは総理大臣と閣僚だけだが、政策決定においては自民党公明党全体における議論や官僚の意図も関与している。言い方として無理があることに変わり無いし、そこまで行間を深読みしなければならない報道、言い回しは誤解を生む。

改憲に関して

 ついでなので書いておくと私は憲法改正については現状、反対。何が何でも反対という立場では無いと言うか、自衛隊を正式に軍隊とすることには賛成の立場。だった。しかし今は憲法改正どころの状況では無い。憲法改正をしきりに進めたがっている連中に信頼して憲法改正に関する議論や改正案の策定を任せられるとは到底思えない。

 国の現状を見れば憲法改正よりもやるべき事が山積している。それが分からない、重要な問題を多少なりとも解消しない内に改正のための改正を目指す連中を許して良いのだろうか。優先順位を間違えるなよ。裏金問題に対する対応1つ、政治資金規正法改正案1つ取っても甘過ぎる。なされるべき事がなされていない。

 大体、憲法改正に関する国民の議論は深まった」と言えるのだろうか。そもそも政治の話をするのがタブーと言われるような国民性で?大衆はそんな事には無関心であり、息苦しい社会の中で日々を送ることに精一杯。関心の高い人でもただ漠然と一個人がそれぞれの意見を抱えているに過ぎない。せいぜい同じ意見の人同士でつるみ、エコーチャンバー現象で「自分の意見が多数派」と思っている程度。議論が深まるどころか議論そのものが行われていない。

 政治屋は己の立場を弁えずに民意を汲む気などさらさら無く、やるべき事をやらない。経済界や官僚の良いようにされて国益を蔑ろにし続け、自分たちがやりたい事だけに夢中で、価値観も狂っていれば最低限の道理すら理解していない。そんな連中が最高法規たる憲法を改正したいと言っても何をもって信用すれば良いのか。任せれば良いのか。無理。ム・リ。

 安全保障における憲法改正の必要性もそこまで感じない。むしろ安全保障を憲法改正のための口実として使おうとしているのが透けて見えるのでますます信用ならない。従来の法解釈で出来ることは多い。その辺のアクロバティックなロジックを考えるのはお得意の官僚任せにすれば済む話。それでも不可能ならもともとやるべきでは無い。

 自民党憲法改正草案も読んだが明らかに改悪であり、自衛隊を軍隊とする以外に余計な改変・削除が多過ぎる。憲法改正に賛成と言っている連中は本当にあれを現行憲法と比較して精査したのだろうか。改正するにしてもあまりに改正内容が多いものは受け入れられない。文章表現もいちいち幼稚な愛国心(自称)が透けて見えるもので、昔の政治家のほうが賢かったんだなと思わされる。

 憲法改正の最終段階では国民投票が必要になる訳だが、そんなものやっても無駄なのでそれにかかる費用を別の場所に回すべき。回す所が無いなら減税しろ。

 

結婚詐欺師とストーカー

 20代女性が男に刺殺された事件について、どちらが悪いかでXが盛り上がっていた。

news.yahoo.co.jp

(記事題:「結婚前提」供述も交際の形跡なし 容疑者、一方的に好意か 東京新宿の女性刺殺・警視庁)

どっちも悪い

 こういう話では「どちらが悪いか」で論争になりがちだが、どちらも悪いとしか思えない。割合で言えば男の方が悪いとは思う。

 殺すのはやり過ぎだし、自主的に財産を売り払ってまで水商売の女に貢いだ男に非がある。いくら金を積もうと50代で25歳の女性と恋愛結婚できると考えるのは夢見すぎ。貢いだ金はあくまで贈与であって貸付金では無いだろう。契約書も無ければ女性側に返済する義理も無い。

 それも刺殺した女に入れ込むまで趣味に全力で生きて来て、今さら「結婚して普通の人生を送りたい」と思ったのならとんだ気の迷いである。正直「どこかで軌道修正したい」と思い悩む気持ちは分からなくもないが、それが出来る限度というものはあるし、人生、いくら大切なものだろうが高級車1台バイク1台売って何とかなるようなものでは無い。疑似恋愛を本気にしてしまい、金で幸せを買おうとした、買えると勘違いしたのがそもそもの間違い。

 一方、女は女でその気もなく貢がせるだけ貢がせてポイ。恋愛感情を弄び、男をストーカーとして通報して2年前に逮捕させ、金も返さない結婚詐欺師もどき。ストーカー被害者としてむしろ守られる立場となった以上、男から出来ることは限られてしまって自力救済に走る遠因を作っている。

 水商売の女からは「たかが1,000万、2,000万の金で人の命を奪うな」という声があるが、「じゃあ、たかがそのくらいの金、返してやれよ」と思わんでもない。金銭感覚が狂うのは勝手だが狂ったなら狂ったなりに対応しなければ筋が通らない。実際、好意を利用して多額の金を受け取った、拒否もしなかった、貢がせる相手を間違えた点で自業自得。

 それとも女にとって男は、理由もなく見返りも求めず自分に大金を貢いで当然なのだろうか。水商売をしている人間ならその辺りの感覚も狂うのか。分不相応な利益を貪れば必ず報いを受ける。殺されたのは不憫だが、それだけリスクのある事をしている自覚が致命的に薄い。

男女不平等

 今回は殺害したこともあって「男が悪い」が優勢だが、これがホストにハマって風俗に沈んだ女になると「騙すホストが悪い」「売掛金を規制しなければ」になるのだから不思議である。

 疑似恋愛にハマって身を滅ぼした点は同じながら、車やバイクを売ってまで貢いだのは男が悪い。身体を売ってまで貢ぐ女についても男が悪い。

大切なものを売るな

 類似の話だが先日、大事にしてきたグッズを売るよう妻に迫られて売ってしまい、精神的に参ってしまった人の話がXで流れて来た。離婚したくない一心で決断したものの、その後で虚無感に襲われた上に結局は離婚したと。

 同じような話で昔からちょくちょく見かけるのが、妻が夫の趣味に理解を示さず勝手に物品を売ってしまうパターン。当然、夫婦仲に亀裂が入る。

 自主的であれ促されてであれ、自分の心の支えにして来たものは売るべきではないし、たとえ夫婦でも他人の心の支えを奪うべきではない。それが付き合っている認識さえ無い赤の他人ならば尚更であり、その代償は高くつく。ただでさえつまらない世の中、生きていくためには何かしら楽しみが必要だ。

価値とは

 価値というのは相対的なものであって絶対的なものではない。自分にとっては無価値なものであっても誰かにとっては価値がある。自分にとって価値があるものでも誰かにとっては価値が無い。当たり前のことだがこれを当たり前として認識し、行動に反映出来ている人間はどれだけいるか。

 大抵の人間は自分の価値観でしか物事の価値を量れない。だから「たかが車1台」、「たかが1,000万」と平気で言える。そうやって他者の価値観を踏みつけたらどのような報いを受けるか、自覚できないのは危うい。あの男にとって売り払った車、バイクは売却金額以上の価値があったのだろう。

 逆に「自分にとって価値があるから相手にとっても価値がある」と勘違いし、それゆえ価値観を押し付けてしまうこともある。自分にとっていくら価値があろうと、相手が価値を見出だせなければ相手にとってそれは無価値である。

 たまに言う「~しないなんて人生半分損してる」、「~しないなんて人生、何が楽しくて生きてるんだ」はその典型。余計なお世話でしかない。

 そういえば私の親戚、最初の就職先で上司に「酒飲まないなんて人生半分損してる」と言われて、「あんたの人生の半分は酒か」と笑って大喧嘩になったとか・・・ならなかったとか・・・。逆にそこまで言うなら「そうだ、俺の人生、半分は酒だ」くらい開き直って笑って欲しいものだが。

 「パチンコも風俗もタバコも酒もやらないなんて人生、何が楽しくて生きてるの?」は実際に言われたことがある。ぶっちゃけどれも楽しくない、必要では無いから手を出さないだけなのだが、それだけが楽しみの人もいるようで。正直、風俗は何回か欲に負けて行ったことがあるがつまらない+金がもったいないので最近は全然。マヌルネコに会いに行ったりライブ行ったりする方が無量大数倍楽しい。

 思えば「普通の幸せ」という価値観の押し付けもなかなか厳しいものがある。恋愛して結婚して子育てをするのが「普通の幸せ」らしいが、果たしてそうだろうか。今このご時世では半端な経済力で下手に結婚・子育てするくらいなら、独身を貫くかDINKs*1の方が幸せに思える。

 「自分がどうなれば幸せなのか」は結構難しい問題で、それが「普通の幸せ」と合致するとは限らない。時にそこには迷いが生じ、気の迷いから「普通の幸せ」像に惑わされて道を外れ、良くない方向に進んでしまう事もある。

 私の人生の3分の2は「探しもの」です俺の人生、探しものか!

*1:Double Income No Kids、共働きで子供を作らない夫婦

転売ヤーの是非

 最初に断っておくが、時間的要因から価値が出た不用品の売買のような正当性ある転売について非難する意図は無い。

 「せどり」は転売ヤーのキレイな表現。売春を「パパ活」と言い換えるのと一緒。

お気持ち表明するな

 まずこれを書いておきたい。転売ヤーには転売ヤーなりの言い分があるようだが、後述する通りどう足掻いても害悪には変わり無いのでやるならやるで黙ってやれと思う。お気持ち表明するな。「人として恥ずかしい事だけどどうしてもお金が欲しいんです」と人目を忍んでやるべきものであって、まかり間違っても自分に正当性があるとアピールするような行為では無い。苦しい自己弁護をしないといけないようなら辞めろ。

 一応書いておくが私は転売ヤーではない。不用品を含めて転売行為自体していない。ただ社会保険料などが引かれない収入が欲しい気持ちは痛いほど分かる。しかし、やるとしたら黙ってやる。

よくある自己弁護への反論

「転売は正当な権利」

 「自己の不用品を売買する」ことについては確かに当然の権利であり、古物営業法違反にも当たらない。しかし利益を得る目的で物品を買い占め、流通を妨げ、小売価格で購入できる機会を奪って不当に利益を得ることを「当然の権利」と言って憚らないことは悪徳である。市場における公正な競争、自由で快適な生活を妨げることを「正当な権利」とは言い難い。

 それを言うならば「正常な価格で物品が買える」ことも正当な権利と言えよう。そうした他者の権利を侵害しておきながら、自分のやっている事を棚にあげて「正当な権利なので非難される謂れは無い」は通用しない。他者の権利を尊重しない者に自己の権利を主張する資格は無い。

「やってる事は小売業と変わらない」

 じゃあ小売店と同じ価格で売ってみろよ。物品の流通は小売業から消費者の間で完結しており、その間に「流通を助ける」などと言って転売ヤーが割り込む必要性は皆無である。

 特に通信販売が一般化している現代、わざわざ他人に助けてもらわなければ買えない商品など皆無に等しい。「俺達は購入する機会を与えているんだ!」などと言うのもいるが、つくづく余計なお世話である。機会はもともと広く与えられている。それを自分の利益のために横取りするのが転売ヤー

 このご時世、誰だって本来の価格よりも高い価格でモノを買いたいなどとは思わない訳で、売店から買い占めたものに不当な利益を上乗せして販売する転売ヤーはむしろ商品の流通を妨げている。やっている事は小売業の本来の在り方とは真逆。

 近年、小売店やメーカーは転売対策をするようになった。本来そのような努力は不要な訳で、その点からも転売ヤーが他者に余計な努力を強いて、損害を与える邪魔な存在であると断言できる。

 また、小売業の存在意義は「欲しい時に欲しいものが買えるようにすること」である。ここには利益率が悪かったりたまにしか売れないものを揃えておくことも含まれる訳だが、転売ヤーはこれを避ける、あるいは積極的に扱う訳ではない。せいぜい「仕入れたけど思ったより価値が上がらず損をした」程度。小売業としての役割を果たすものとは言えない。

 小売業は社会に貢献する存在であるが、転売ヤーはそうではない。貢献していると思いこんでいるならそれは異常者。

「やってる事は古物商と変わらない」

 古物商は新製品の流通を意図的に妨げたりしない。古物商における価値は時間的要因によるもの、「市場に流通してから時間が経ち、消費者の手元にもあまり残っていない物品を市場へ再投入すること」にある。品薄や数量限定の新製品を狙って買い占め、希少性を盾に価格を吊り上げる転売ヤーとは違う。

 中古品を扱う場合では、そもそも古物商許可は取っているのだろうか。「古物商と変わらない」と言い張るなら当然取ってるよな?

 古物商許可無しに最初から転売目的でBOOK OFFなどから物品を”仕入れ”、利益を乗せて売るのは違法である。本当に欲しいから中古で買ったものを飽きたので売る、というのは許されるだろうが、利益を得る目的で多数の物品を売買している場合は明らかにアウト。

 また、古物商は適切な管理によって物品の価値を維持し、時に修繕することで経年劣化によって落ちた価値をもとに戻す。古物商における利益にはそれらにかかる対価が含まれている。しかし、転売ヤーに出来ることは新品を中古品にすることだけ。売れないものは不良在庫として腐らせる、安売りして損切りする程度。そこに新たな価値は欠片も生まれていない。

 なお、「新品」の定義は曖昧で法律的に言えばたとえ未使用でも消費者として購入した時点でその物品は中古=古物である。メルカリなどで売買されている「新品未使用」もすべて古物。しかしそれらが全て違法になる訳ではない。「自己の不用品を売買すること」は古物営業法の違反とはならないからである。なのでサイトによっては「小売店で買った新品をそのまま売っても違法では無い」と書いてある。法律上の定義と感覚的な話は違う。

 これも常識的に考えれば、「欲しいと思って買ったが要らないものだった」「不要になったので売りたい」という場合を想定しての話。転売ヤーの行為を正当化するためのものでは無い。むしろこうした良心に基づいた制度設計を悪用する者が増えれば、それに対応するために規制が強まったりするため迷惑。

 特定興行入場券の不正転売防止に関わる法律が好例で現在、転売禁止が明記されているコンサートなどのチケットについて、興行主公認のリセールサイトを通さない転売は違法である。

転売ヤーだって苦労しているからマージン乗せて当然」

 それは自分が得をするための苦労であって、その対価を他者に求めることは相手に損害を与えるに等しい。非難されて当然である。転売ヤーにならなければそのような苦労をすることも無いし、消費者は余計なマージンが乗っていない、正常な価格で物品を買えるのでWin-Win

 「苦労したから」、「苦労した分だけ」何らかの対価をもらえるほど世の中は甘くない。だったら俺も草刈りで苦労してる分、誰か金をくれ対価をもらうのであれば何らかの利益を相手に与えなければならないが、転売ヤーと非難される人種が消費者に与えられる利益など存在しない。*1

「転売価格が市場価格だから売値は妥当」

 市場を歪めておきながら市場原理を持ち出すのはもはや滑稽。転売ヤーは新製品の流通を意図して妨害し、転売でより利益を得るために需要と供給のバランスを歪めて希少性による価値を付与している。それによって吊り上げられた価格が、あたかも正常な市場原理によるものであるかのような主張は無理がある。転売ヤーの存在を市場の流れの1つであると見た場合でも、その存在は決して歓迎されるべきものでは無い。

 ポケモンカードのように世に出て間もない物品が、奇妙なレベルの高額で転売される状況は市場の歪みを如実に表している。強いて言えば既に市場価格、相場と呼ぶべきものが形成された物品について相応の価格で転売することは妥当と言えるだろうが、転売ヤーが自己正当化のために市場価格を持ち出す時は大抵その文脈から外れている。

 無料でもらった特典などは転売価格が市場価格と言って良いかも知れない。市場に流通する手段が転売しか無いのだから。

転売ヤーに供給を絞るほどの力は無い」

 転売ヤーは個人でやっているからそう思うだけで実際はある。逆にその程度の考えで品薄、数量限定、抽選販売の物品に集団で群がるので、本当に欲しい人が商品を買えないという事態に陥る。

 逆に転売ヤーがいても何ら不都合が無いのであれば、ここまで憎まれる存在になることも無かっただろう。メーカーや小売店がわざわざ転売対策をする必要も無かった。実際に起きていることから目を逸らしたい、「自分たちがやっていることは迷惑にはなっていない」と思いたいだけの希望的観測に過ぎない。実際は迷惑でしかない。

 コロナ禍においてはマスクが転売対象となったがあの時、転売による供給への悪影響が無ければアベノマスクなんか作る必要は無かったかも知れない。時に国益さえ損ねる害悪である。

「投資と変わらない」

 だから何?どういった投資と比較しているのか定かでは無いが、いかなる投資であれ競争には公正さが求められる。その点、供給を妨げて意図して市場の公正さを損ねている転売ヤーは問題視されて当然。投資と見なすにしてもやり方が汚いから敵視されているのであって、金儲けの手段として投資と並べた所で、転売ヤーの悪質さが消えてなくなる訳ではない。

例外について

 YouTuberの吉田製作所さんが自分自身のグッズについて、「製造を委託した業者から格安で仕入れてAmazonで高く売っているので転売ヤーと変わらない」と自嘲していた。

 しかしこの場合、吉田氏のグッズが市場に流通するためには吉田氏自身がAmazonマーケットプレイスで売りに出すしか無い訳で、小売による流通を妨げている訳ではない。転売ヤーではなく小売業的役割を果たしていると言える。その辺の転売ヤーと同列に語ることは出来ない。

 また、吉田氏は自身のグッズを自らデザインあるいは3Dプリンターで製造もしている。そこにかかる労力、時間に関して販売時に利益を乗せることは何ら非難されるべき事に当たらない。

 このような場合は転売ヤーと呼ぶべきでも無いし、非難されるべきでも無いだろう。そんな事を言いだしたらライブグッズとか大変なことになるわ。

 

*1:あくまで悪質な場合において

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